(整数問題)kの倍数である (上級問題精講802)
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今回考えていく問題は上級問題精講を参照しました東京大学の問題です。
このブログでよく取り扱う参考書
まず、入試数学の掌握(赤)に載っている整数問題のある鉄則を紹介します。
(鉄則)ーkの倍数であるー
「kの倍数である」はkを互いに素な複数の整数に分割して考えるのが基本。その上で
- 連続k整数の積の形を利用する。
- mod k の剰余によって分類。
- 二項定理の利用。
- 数学的帰納法に頼る。
というものです。棒線部の部分が重要になってきます。
割る数の分解はマストです。互いに素な整数に分解することで倍数処理が飛躍的に楽になります。では本文に戻りましょう。
とてもいい問題です。上の鉄則の数学的帰納法以外全て上手く活用することができます。
まず鉄則の通り10000を2^4と5^4と分解しましょう。
上級問題精講ではa^2-a=a(a-1)と変形してaとa-1が互いに素であるとして議論を続けていきますが、問題文にaは3以上9999以下の奇数とあるのでa=2k+1のが妥当でしょう。今回は別解的に解いていきますが、ほとんどやることは同じです。
ではf(a)=a^2-a=2k(2k+1)と変形します。
まずf(a)が2^4の倍数になるkの必要条件を求めましょう。
言わずもがな2k+1は奇数ですのでf(a)が2^4の倍数になるにはk=2^3mが必要です。ー①
次にf(a)が5^4の倍数になるkの必要条件を求めます。
kが5の倍数の時2k+1は5と互いに素であり、f(a)が5^4の倍数になるにはk=5^4s。ー②
kが5の倍数でない時、2k+1=5^4gが必要で、k=1/2(5^4g-1)よりkが整数になるにはgが奇数である必要があり、g=2t+1とするとk=5^4t+312となりこれが必要条件です。ー③
よってf(a)が2^4の倍数でありかつ5^4の倍数である必要条件は
①かつ②または①かつ③です。
①かつ②はk=2^3・5^4m=5000mとなりaが3以上9999以下となる整数mは存在しません。
①かつ③は312が2^3の倍数であることからk=2^3・5^4・g+312となりaが3以上9999以下となる整数gは0のみであってその時のkは312、aは625でありこのaは題意を満たす。
このように必要性から範囲を絞り、十分性を確認することで答とするのは、入試数学の掌握の整数問題の基本精神でも紹介されています。やっぱり正確に議論を進めていくには「必要から十分へ」に頼るしかありません。
今回の問題のポイントは割る数を分解してそれの結合を必要条件から十分条件を確かめ正確に議論できるかというところでした。
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